第十章
これで、目的は果たした。
厭にあっけない結果ではあったがどうすれば一矢報いることが出来るのか本当にそれだけを考えて今日まで過ごしてきたのだ。大袈裟な表現である気もするが強ち間違いでもない。
執念の賜物と言っても過言ではないだろう。
一度は背中を向けたがちらりと振り返って見て小さく息をつく。動き出す気配のない戦士達を長くその目に留める理由もなくスピカは正面に向き直ると足を踏み出した。
……どくん。
「リーダー!」
え?
「……!」
スピカが振り返るよりも早く叫んで飛び出した黒い影を青い光の弾丸が撃ち抜いた。その瞬間全ての映像がスローモーションとなって視界に映り込んでいたが把握した途端かの体はまるで糸が解けたように地面に放り出される。
「ウルフ!」
声を上げて駆け寄った。
「やれやれ」
痛みに呻く彼を案じて抱き起こしている間に弾丸を放った張本人が冷めきった声を洩らす。
「忠犬様々だな」
スピカはゆっくりと目を見開いた。
「っ……フォーエス、部隊……!」