第十章



「眼、ですか」

ダークファルコはふぅむ、と唸った。

「気にかけたこともありませんね」
「だろうな。強いて言うなら、本物オリジナルと違って赤の双眸であるということくらいか」
「あの……それが何か?」

スピカは振り返る。

「"その程度の認識だからこそ"。お前たちの眼を利用させてもらう」


簡単な話だ。

お前たちは特定の条件下において両眼に殺気を帯びる。蛇が鼠を睨み付けるが如く例え僅かであれ確実に動きを奪う強力なものだ。そいつが正しく機能していなかったのは存在を認知され警戒されていたからだろうな。

だからこそ今回はターゲットに姿形を隠蔽した状態で仕掛ける。無論後にも先にもチャンスはこの一度きりだがその一度で充分事足りる。

俺たちは役目を果たす。


まさかそれが作戦とまで頭が回らないだろう。

理解に及ぶ隙さえ与えないのだから──
 
 
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