第十章
積み重なった瓦礫の上に少年は居た。
片方の脚を立てて膝にその細い腕を掛けながら腰を下ろす彼は目線下のロックマンらを冷たく見詰めている。彼を想い慕う影の気配は窺えず彼らの特質から察するに撤退させたか。
「お前たちだな。この惨状は」
ようやく口を開いたロックマンだったが怒気が含まれているのは明白だった。
「……外道が」
深く睨みを利かせる。尚も少年スピカは動じた様子を見せず同じ場所から動かずにいた。
「管理下の御子息と見て何処かに正義の意志が残されているのではないかと信じていたが」
「――抜かせ。てめえら正義の忠実が只のひと欠片も思っていないようなことを」
スピカが睨みを返すとロックマンは糸が解けたようにニヤリと笑みを浮かべる。
「……うちの部下を殺したのはてめえらだな」
「どうだろうか。今更それが分かったところで貴公の御友人は許してくださるかな?」
この機会を逃す手はない。
「関係ないな」
漆黒の双眸に憤怒の色を滲ませて。
見下し。はっきりと言い放つ。
「"それが"分かれば――充分だ」