第十章



◆第十章『何を信じればいいのか』



踊り子のように。赤を振り撒いて人が踊る。

嘲笑う声も銃撃も皆が皆合わされば行進曲マーチのように。様々な感情を引き連れて良いも悪いも全てが空に大地に反響する。

「ひゃはははははっ!」

聞き慣れた愉しげな笑い声も。

今は。

「……うるせ」


血生臭くて嫌になる。


レイアーゼ都内の一端にある小さな村。

名前は何だっけ?

「……、」

気付いた頃には煩わしい音も、嘆かわしい声も全て無に帰していた。視界いっぱいに映り込む荒れた光景に小さく息を洩らしてしまう。

そんな静けさの中突如として銃声が響けば当然振り向いて、まだ年端もいかぬであろう子供が横たわる瞬間を目にする。

「独りぼっちは可哀相ですから」

理由を述べた黒い鴉は硝煙を吹き消して己の太腿に取り付けてあるホルスターに銃を戻した。本来であれば声を荒げるであろうその人も今回ばかりは冷めた目で子供の亡骸を見つめて。

「……そうだな」
 
 
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