第九章



天空大都市レイアーゼの中心部に聳え立つ白い巨塔。――中央司令塔。

その建物四階に第四正義部隊フォーエス部隊の待機する寮はある。下手な美術館博物館よりも管理の厳しい此処は三階より上の階層へ向かうにはエレベーターを使う他手段がない。災害等異常が発生した際それは不利なのではないかという声もこれまでにあったが断固として譲らず未だそれのみなのは、やはり国の重要文化財を護るひとつの手だからなのだろう。……

「……?」

妙に静かだ。歩けど響くのは己の靴音ばかりで話し声は疎か気配さえ感知できない。

誰も居ないとは妙な話だ。そもそもの話あんな出来事があった後で説明や解明より先に出撃を選ぶほど違う方面に鍛えた脳ではあるまい。

「……誰か!」

足を止めて声を上げる。

「……居ないの?」


返事はなかった。


あまり声を張り上げるのも傷に響く。軽いものだったとはいえ全く平気という話でもなし。

本当に誰も居ないのだろうか。返事はなくとも誰か気付いて扉を開いて顔を覗かせるくらいのことはあってもいいと思うのだが……?
 
 
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