第九章
意外にも反抗的な目が向けられた。権力や立場など鼻にかけているつもりはなかったのだが、程なくして彼にはこの状況について前提となる情報が欠けているということに気付く。
「あんたさぁ見捨てられたんだよ」
それについては連れも気付いたようで至極嫌みたらしくけれど簡潔に述べてくれた。
「そこで見兼ねた僕たちが親切心で拾ってきてやったってわけ」
言い方というものがあるが。
「……信用できない。僕には仲間の目を盗んで情報欲しさに拘束したかのように見える」
案の定引き下がらないマークにカービィは予測付いていた様子で口元に薄く笑み。
「だったらさぁ」
首枷に繋がれた鎖を引いて。
「洗いざらい吐きなよ。その情報ってヤツ」
冷たく見据える。
「あんたがここに居る理由なんて、本当はどうでもいいんだから」
これにはやれやれと息を吐いた。彼は某遊撃隊の誰かさんと同じく大切な人のこととなると過激な思考に陥ってしまう傾向にあるらしい。
「何があったかは覚えているだろう」
口を開けば視線が向けられた。
「あの後。君はあの場に取り残されていた」
脳裏に情景が浮かぶ。
「不測の事態であれば尚更、君だけをあの場に残すべきではない。本当に囮でないとしたら、後は彼が言ったとおりのことだよ」