第九章
床に打ち付けられた鉄の杭に繋がれた鎖。辿るその先には重い手枷があり背中に回した少年の両手を捕らえている。その少年もまた細い白い首に枷を取り付けられ鎖が垂れていて。
非難の声なら幾らでも受けよう。
軽蔑したって、構わない。
「まー流石に起きてるよねえ」
冷たい空気とは裏腹に気の抜けるような声音でカービィが進み出る。先程文中で少年と称した正義部隊の軍師マークは尚も黙っていた。
「気分はどう?」
「素晴らしい目覚めだよ」
マークは少しも笑ってみせずに。
「こんな形で貴方を見上げるなんて」
そうして視線を向けた先には案の定マルスの姿があった。けれどマルスも今度は冷めた視線を返すばかりで口を開いたが。
「分かっているだろう」
少しの隙も窺えない帝王の如く。
「アリティア国王子の面前だ」
見下しながら。
「知っていること全て吐いてもらおうか」