第九章
◆第九章『全てを話します』
光届かない裏世界。
亜空間に佇む黒塗りの研究施設のその奥謁見の間ともいえようその場所で部下である影たちは今まさに主たる少年を前に膝をついていた。
「、……」
別段苛立った様子もなく玉座に座り続ける彼に誰もほっとしたことだろう。かといって空模様のように突如として一変するようなひとなので油断も儘ならないまま静寂だけが過ぎていく。
「……おい」
だというのにこの人はまた痺れを切らして。
「いつまで待たせるつもりだ」
「待ってたの?」
拍子抜けするような返しが飛んでくる。
「見りゃ分かるだろ……!」
「僕は考え事をしていただけだけど」
こうして対等に向き合えるのもリーダーだからこそと言ってしまえばそれまでか。それでも毎度彼の出方には此方が冷や冷やさせられる。
「……マスターのことかよ」
玉座の肘掛に頬杖をついて脚を組みながら考え事を続ける主君に。彼もまた眉を顰めては追い討ちをかけるようにして訊ねた。