第八章
白銀の髪が振動に従って垂れる。瞼を閉ざして眠る姿は見目麗しいもので。
「……睫毛長いね」
「じゃないだろ」
「わ、分かってるよ」
ルーティは苦笑いを浮かべて。
「……でも。どうして彼が?」
第四正義部隊フォーエス部隊きっての天才双子軍師。マルスが深刻そうな表情で抱きかかえていたのはその兄、マークだった。
「いやだからそれが分からないんだって」
「肝心のフォーエス部隊は何処にも見当たんないし」
念のため空から確認してきたのか浮遊しながらカービィが話に加わる。
「気付かないで撤退しちゃったってこと?」
「あの生真面目な隊長クンが忘れるもんかね」
それもそうだ。呆れ顔のカービィにルーティは妙に納得しながら改めて狸寝入りといった様子でもなさそうなマークをじっと見つめる。
……罠、じゃない……よね……?
「どうするの?」
「このままデリバリーするのも癪でしょ」
「何しろ不審な点が多過ぎますから」
リンクは腕を組む。
「彼らがまともに取り合ってくれるかどうか」
それでも管理下であるクレシスにだけは此方の話が通じそうなものだが。しつこく纏わりつく不安や不信感がどうしても邪魔をする。
……こんな時に。