第八章
結局。最後まで何も話してくれなかった。
「ルーティ!」
ダークシャドウは急遽撤退した。謎の魔方陣により亜空軍主将であるマスターが捕らわれたのだから当然の判断だろう。
「無事だったか!」
「……うん」
駆けつけてきたフォックスに顔を上げて応えてやる気にもならず暗い表情のまま。その様子に気付いているのかいないのか、怪我をしているじゃないかと心配そうに声を掛けるフォックスの声さえも重い思考の前では遠のいて。
……フォーエス部隊も。ダークシャドウも。
どうして、僕を。
「小さい怪我でよかったじゃねぇか」
「見た目には分からなくてもだな」
暗く影差すパートナーに。
「ルーティ」
その男はゆっくりと口を開く。