第八章
その時だった。
空気に紛れ込んだ異様な気配を逸早く察知したのはダークウルフで。銃を構えたタイミングはウルフに同じく、けれど発砲はダークウルフの方が早くルーティは銃声に釣られるようにして敵意を向けた先を振り返る。
「、あ」
其処にあったのは何故か丸太だった。
きょとんとしてしまったがすぐに積み重なった瓦礫の上に影を見つけて小さく目を開く。
「……!」
「何のつもりだ」
スピカが睨みつけるその先には。
忍装束を身にまとったミカゲの姿が――
「……その言葉」
ミカゲは目を細める。
「そのままお返し致そう」
「ここで関係ないと言えばまた同じ言葉を返すつもりだろうがそうはいかねえ」
ダークウルフは銃口を下方に向けた姿勢で。
「"何故、殺そうとした?"」
……え?
ミカゲは答えなかった。それさえ見込んでいたのかダークウルフは続け様に口を開く。
「歓迎式典の日。彼を手に掛けようとしたのはお前だな?」
思考が追いつかない。
ミカゲが? 僕を殺そうとした?
だとしても独断で?
……それとも……まさか、ロックマンが……?