第八章
その時だった。
「あ、え」
展開されたばかりの魔法陣にビシビシと音を立てて不穏な亀裂が走った。突然の事象に状況を掴めない様子のダークミュウツーも灯した紅の光を失せて困惑した様子で声を洩らしながら、視線のみをゆっくりと向ける。
「隙だらけだ!」
当然その隙を見逃さない手はなかった。
「ッあぐ、ぅ……!」
距離を詰めたリオンが鳩尾に拳の一撃を入れたのち怯みを逃さず波動を纏って踵落とし。首後ろに受けたダークミュウツーはくぐもった声を上げて地面へと叩き落される。
「リオン!」
飛翔能力を持ち合わせていない彼は落ちるのみだったがユウの超能力がそれを助けた。いや、注目すべきはそれではない。
「……!?」
展開される漆黒の魔法陣。
発動者はフォーエス部隊の双子軍師……!?
「うおっ」
自身の影を前にして睨み合っていたマリオも影響を受けていた。揺らぐ地面に震える空気が緊張感を一時的に払い除ける。隣に並んで構えていたルイージも踏み堪えると振り返って。
「……!」
思わず目を開いた。
「兄さん!」