第八章
ハッと目を開いた。
「ユウ!」
如何にか攻撃を躱して小さく息をつく。救援信号を受けて駆けつけたがおろしたばかりの服に焦げ付いた匂いが染みついている。気に入ったデザインではあったがこんな状態となっては仕立て直しもやむを得ない。
「どうしたんだ」
……それにしても。
「いや」
白昼夢なんて。
「来るぞ!」
言われずとも読めているというのに。空から降り注ぐ無数の槍を見上げてユウはリオンと同じタイミングで地面を蹴り出し跳び上がる。高く高く上昇しながら向かい来る槍を超能力で跳ね除け、波動をまとった拳で撃ち落としてその先の発動者の元へ着実に。
「くふふふ、ふはっ……ぁ……」
ダークミュウツーは薄く頬を染めながら恍惚とした表情でその様子を見下して首を傾ける。
「いい……っいいよ……もっと……」
そう呟きながらぞくりとする程に妖しく双眸に紅を灯して。
「愉しませてぇ……っ!」
紫色の魔法陣が背後に展開する。