第八章
俺には俺の。僕には僕の――
かつて交わした約束が鋭く胸に突き刺さる。
言ったじゃねえか。例え本気で殺す覚悟だったとしても奪うのは無しだってそう約束したじゃねえか。あの時の言葉はどこに行ったんだよ。
期待させるくらいなら。
やがて壊してしまうくらいなら。
「っ、」
踵落としを躱したが砂煙が舞い上がる。
その中で素早く位置を捉えて攻撃のひとつひとつを余さず受け止めたのち黒い稲妻をまとった回し蹴りで返す。いち早く砂煙の中から抜け出たルーティを追うが彼もこの瞬間を見逃さず後退しながら断続的に雷撃を放って。
擦り、掠めながらもう一度地面を蹴り出して着実に距離を詰めていく。これ以上後退すれば他のメンバー達の戦闘に巻き込まれると見てルーティも覚悟を決めたのか靴裏を擦りながら踏みとどまると頬に青の閃光を走らせ迫るスピカを睨みつけた。
それは。
かつての幼馴染みに預ける視線ではなく。
「おおぉおおおッ!」
雄々しい声を上げて拳が振るわれる。
「スピカ……!」
壊してしまうくらいなら。
お前なんか。……お前なんか。