第八章
きっと睨み付け、受け止めていた蹴りを電気を放出して弾き返した。後方へ飛ばされるも宙で後転したのち靴の裏を擦りながら踏みとどまるスピカにルーティは次の一撃を打ち込むべく、地面を蹴り出して接近する。
「分からないよ!」
先程までの状況とは逆にルーティは受け流されながらも何発も拳や蹴りを繰り出して。
「スピカのやろうとしていることも! 考えていることも!」
黒い閃光が跳ねるのを捉えて彼の腕をばねに両足で蹴り出し高く舞い上がった。二度三度の回転ののち両腕を突き出して青い電撃を放つ。
見上げたスピカが構えるより先に飛び込んだのはダークウルフだった。赤い六角形の反射板を展開させてそのまま跳ね返す。ルーティはもう一度電撃を放ち、それにぶつけると押し勝つか否かの戦いは捨てて跳び箱を超える感覚で前方へ。宙で前転したのち後方へ両腕を伸ばして、ジェット機のような要領で電撃を噴出――標的目掛けて一気に急降下する。
向かい来るのが見えていれば何もしないはずがなかった。腕を薙ぐ流れで指を鳴らし目の前に五本の黒い稲妻の槍を発現させる。それらは異なるタイミングで射出されると此方に向かって降下するルーティを目掛けバチバチと耳に障るほどの鳴き声を上げて。
「俺だって!」
稲妻の槍を避ける術はない。けれどそれはすかさず駆け付けたピットやメタナイトの剣や神弓により弾かれ進路を安全に確保が為される。
「っ……なんで」
ぐしゃぐしゃになる。
「なんで」
――お前は、さ。自分のやってる行いは正義なんだって、胸張って言えるか?
響く。
――もちろん!
「、……てたのに」
溢れる。
「信じてたのにッ!」