第八章
砂煙が晴れる中で。
「っ……は」
尻餅をついて息つく男がひとり。
「……!」
ルーティは目を開く。
「……ギリギリですね」
そこにいたのはリンクだった。
やれやれといった具合に苦笑いを浮かべる彼の右腕にはクローショットが装着され、左腕には――先程の子供を抱えて。
そう。事態を視界の端に捉えたリンクは多少の傷を負いながらも戦線を脱しクローショットを建物の壁に打ち込むと、その方向へ引っ張られながら子供を腕に掬い上げて回収したのだ。
それだって。
タイミングが違えばどうなっていたことか。
「……、」
スピカはほんの少し息をついた。
「っ、!」
次の瞬間だった。
影を捉えて構えれば激しく鳴き叫ぶ青の電光を帯びた拳の一撃が襲ってきて。
「……スピカ!」
少年は顔を歪ませる。
「どうして……!」