第八章
遅れて気付く。自分に向けられて放たれたその攻撃を躱してしまえば今度あの子供へと攻撃が飛んでしまうことに。
「しまっ」
気付いたところで時間は巻き戻らないのだ。
そもそもこの戦いの舞台が住宅地であることに常に意識を向けているべきだった。自分たちと違い如何なる状況に巻き込まれようと対抗する術なく、無防備で、か弱いばかりの同じ体温の生き物がすぐ側にいたことに。
「……!」
雷撃は子供を逸れて建物に直撃した。安心する間もなくこの戦いの中で幾つもの傷を受けて強度の落ちていた建物は衝撃に耐えきれず崩壊を起こしてしまう。ガラガラと崩れ落ちる建物の瓦礫に声にならず目を見開いて。
――砂煙を巻き上げる。
しんと水を打ったように辺りが静まった。
或いはそのように錯覚していただけで周囲では変わらず戦闘が行なわれてたのかもしれない。
ザワザワと。
心の奥から湧き上がる。
僕は。僕たちは。
護る側の人間なのに――