第八章
そうして視線を戻した先には彼らが居た。
……X部隊とダークシャドウ。戦況はX部隊側の圧倒的不利で防戦一方であるため此方の存在に一切気付く気配がない。仮に気付いたとしても構っていられる余裕などないだろう。
可哀想だが。
此方側としては好都合だ。
「これから目標地点へ近付きます」
どんな攻撃が飛んでくるかも分からないこの状況下ではただひとり絶望の未来と称されるそれを実際にその目で見てきたルキナが先頭に出て指揮を取るのは極々自然なことだ。
……それなのに。
違和感を感じるのは何でだろう――
瓦礫の破片が頬を掠める。
息つく間もなく飛んでくる攻撃の群れに此方の体力はみるみる内に削られていく。フォーエス部隊が密かに接近を図るその頃予測された通りルーティ達は苦戦を余儀なくされていた。
「嬉しいねぇ」
剣と剣で押し合う。
「これでやっと心置きなく」
その影はニヤリと笑って呟いた。
「……殺せる」