第八章
「おかえりなさい」
出来る限り音を立てないよう配慮して入室したつもりがどうやら起きている様子だった。
「ルフレ」
少しだけ目を丸くして、
「まだ起きていたのかい?」
「ええ。それよりも」
ルフレは瞳の奥に期待を宿らせた目で。
「どうだった?」
その瞬間。
反射的に目を逸らしてしまった。
「……いや」
気まずそうに遅れて口を開くマークに察したのだろう、ルフレは打って変わって眉を八の字に下げるとしょんぼりとした様子で。
「そう……」
元々はルフレの提案から始まったのである。
もちろん無理矢理に兄にその役を押し付けたのではなく二人で細部まで話し合って納得のいく意見が纏まったところでマーク自らロックマンを説得するその役を買って出たのだ。
「ごめんなさい」
ベッドの縁に座っていたルフレはすっかり落ち込んでしまっている。
「兄さんにばかり任せてしまって」
「今回は間が悪かったというだけだよ」
マークはその隣に腰掛ける。
「話の途中にルキナが来たんだ」