第八章
……障壁。内側からの被弾含む攻撃は全て遮断。攻撃性の無いものであれ通過できない。
完璧な要塞だ。哀れ攻撃圏内に入ってしまったらしい住民が逃げ惑い怯える様子を捉えて眉を顰める。今すぐにでも飛び込んで助けたいのは山々だが得策とは言えない。
今日は未来が掛かった、その日なのだから。
ダークシャドウによる奇襲から数分。立ちはだかる障壁を睨みつけるのは第四正義部隊フォーエス部隊だった。障壁に直接手を触れることは出来ないがもちろん突破の為の策はある。
「……お願いします」
ルキナが言うとマークとルフレは顔を見合わせ互いに頷きあった。不安の色が滲む中、先頭に進み出て肩を並べ足を止める。
息を合わせて。二人が勢いよく手を薙ぐともう片方の手に構えていた魔導書がふわりと浮かび上がりばらばらとページが捲れた。交互にぶつぶつと詠唱を行ない前方に魔力の渦が巻く。
と。金属と金属を打ったような耳を劈く甲高い音が長く尾を引いて鳴り響いたかと思うと前方障壁の一部分が爆発。黒煙が周囲を覆い誰も身を庇うようにして両腕を構えていたが、誰より早くロックマンがそっと解いて確かめるとその一部分が大きく口を開いていた。
「上出来だ」
マークとルフレは振り返る。
「行こう」
そうして間を抜けて先頭へ進み出る彼を視線で追ってから二人はもう一度顔を見合わせて。
「ルフレさん。マークさん」
諭すようにしてルキナが口を開く。
「……行きましょう」