第八章
◆第八章『信じていたのに』
……なんで。
どうして、こんなことに。
吹き荒れる砂煙の中飛び出す影がひとつ。腕を交差させて蹴りによる一撃を防いだがそれのみに留まらずその影は続け様高く跳ね上がると前転を加えたのち、黒い稲妻を右脚に纏って降下しながら踵落としを繰り出した。
今度も構えを変えないまま此方は両腕に青い稲妻を纏って攻撃を受け止めたものの爆発が引き起こされてしまう。双方を纏っていた砂煙を吹き飛ばし二つの影はそれぞれの陣へ飛び退く。
「……スピカ!」
その一方はたまらず叫んだ。
「どうして、こんな……」
「……俺だって本当は」
はっと目を開いて見張る。哀しげに揺らぐ瞳を見逃さなかったのだ。
「認めてやるよ」
けれどその人は自嘲気味に笑って。
「それがお前の正義なら」
ゆっくりと頭をもたげて睨み上げる。
「でも。俺たちだって"正義だった"」
沸々と湧き上がる其れは紛れもない怒り。彼の後方に並ぶ紅の目が不気味で。
「俺たちが"悪"だというのなら」
片手を薙ぎ払って叫ぶ。
「そうさせたのはお前たちだ!」