第七章
死んだ。仲間が死んだ。
たったひとつの。ひとつだけの命が。
姿形や性質を似せたってもう二度と同じであるはずがない。彼らは其処で途絶えてしまった。
戻らなくなってしまった。
「あれ」
ぽたぽたとこぼれ落ちる雫を手に受けて。
「なんで泣いてるんだ……?」
負の感情が渦巻く。悲しくて苦しくて悔しくて胸が締め付けられて息が詰まる。
彼らが人間らしさを見せた瞬間だった。
「リーダー」
ダークウルフは頬を伝う涙をそのままにじっと炎を見つめながら口を開く。
「俺たちは勘違いをしていました。彼らの命が潰えても必ず彼らは戻ってくるものだと」
目を細める。
「ですが……違いました。同じ彼らはもう二度と戻ってこないのですね」
ああ。
彼らをこんなにも悲しませたのは。
「……命令しろ」
震える拳を静かに握り締める。
「マスター。クレイジー」
もう迷わない。
「これは」
スピカは顔を上げて叫んだ。
「――復讐だ!」