第七章
……僕は。
傷付けてしまったのだろうか。
「ありがとう」
その言葉は此方が何か言うよりも先に。まるで見計らっていたかのように。優しくて穏やかな普段の声音で彼の口から放たれた。
「君は優しいんだな」
彼はそう言って笑うのに。
なのに。どうして。
「そうだな」
ロックマンは妙に納得したように。
「ここで立ち止まるなんて」
けれど何処か自嘲するように。
「らしくもない」
何を期待していたんだろう。
「行こうか」
柔らかく笑いかける彼もその仕草も。
何処か距離を感じながらそれでも側にあるべく足を踏み出す。何事もなかったかのように他愛のない話を交えながら。その間止まっていたと錯覚していた時間は砂時計を返したかのように再び動き出して二人を日常へと引き戻す。
躊躇うのなら手を取ろう。
迷ったなら導こう。
僕らは。
同じ正義を志す仲間だから。