第七章



「いらっしゃいませー!」
「只今こちらのワゴンの商品が全品レジにて半額となっておりまーす!」

靴屋を出てから暫く歩いてみたが成る程様々な店が道行く人々をあの手この手で誘惑してくる。斯く言うルーティも試食といって差し出された羊羹を口に咥えて辺りを見渡していた。

「相変わらず賑やかだね」
「いいじゃないか」

そう言って小さく笑う彼としてもきっとこの方が気が紛れるものなのだろう。

「……それもそうだね」

ルーティは思わず顔を綻ばせた。


「刮目せよ! 我らが全知全能の神に祝福あれ!」


そんな空気に水を差したのは広場に差し掛かった時。大柄の男が声を上げたのである。見れば人だかりが出来ており男が演説している舞台には近付けそうにもなかったがどういった演説であるかは先程の発言然り何となく分かった。

「この世界は毒されている」

見た目もそうだが舞台の上をゆっくりと往復しながら少々大袈裟な身振り手振りで演説を行う姿は極めて特徴的で。

「神々がお怒りになるのも無理はない」
 
 
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