第七章



お洒落とは。例え見落とされがちな足下であれ気を遣うべきである。……というのは何処かの雑誌で見かけた意識の高い男性ファッションモデルの持論で。

あながち間違っていないのだろうが残念ながら今のところ色恋沙汰に焦りを感じていない自分としては明日履ける靴さえ確保出来ていればいいのである。

「そういえば」

ルーティは靴を眺めながら。

「ロックマンって身長とか気にしたことないの?」

というのも今現在目の前にしているものではないが視界の端で巷で噂の低身長が気になる人には欠かせないシークレットブーツなるものを見かけたからこその単なる素朴な疑問なのだが。

「不便なことは多々あるな」

彼の身長は自分よりほんの少しだけ高いといった具合だ。故に多くを語らずともその気持ちは何となく分かる。

「あはは。身長欲しいよね」
「そうでもないさ」

思わぬ返しに疑問符。

「足りない部分は仲間が補ってくれる」
「かっこいい考え方だね」

するとロックマンは笑って。

「誤魔化して生きる方がよっぽどかっこ悪いからな」

あはははははは。

ルーティは乾いた声で笑いながらそっと手にしていた靴を棚に戻した。
 
 
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