第七章
空が燃えている。
紅く。紅く。それは炎の海に佇む少年の風に撫ぜられた髪のように。
雄々しい声を上げて応戦する兵士たちをその左腕ひとつで次々と薙ぎ倒して。
「あっはははははは!」
高らかに響き渡る。
希望を全て呑み込む絶望の声が。
頼む……早く、……国の……
守るべきものを背に立ち上がれないまま早く行ってくれと弱々しく声を振り絞るようにして嘆いたあの時のロックマンの声は今も生々しく耳に残っている。
……僕なら耐えられない。
あれだって大袈裟な話が精神面に支障を来してしまったって可笑しくないのだ。最後まで自分ではなく仲間や国のことを気にかけていたのは最も彼らしくそれは強さでもあり、弱さでもある。
それが弱さと自覚できない部分を。
補うまではいかなくとも。
少しでも。
癒してあげられたら。