第七章
そうして浮かべた人当たりの良い笑みに後押しされるようにしてルーティはその場を離れた。ふと目についた窓際の席へ椅子を引いて腰掛けながらロックマンを見遣るとどうやら会計をしている様子。
重要な役目を任されたものかと思いきや上手く誘導されたか。お金を払うのだと明言しない辺りが彼らしいというか。
「もう」
程なくして向かいに座ったロックマンへルーティは言葉を投げかける。
「レシートは?」
「ああ忘れてしまった」
嘘をつけ。
「難しく考えないでくれ。此処はいつも来ているから見栄を張りたいんだ」
そうまで言われてしまうと何となくその気持ちも分かるような。
「先手必勝という言葉もある」
おい。
「ずるいよ」
「大人はそういうものだ」
「同い年でしょ」
「それはどうかな」
ロックマンは小さく笑う。
「ほら。君の口に合えばいいのだが」