第六章
……そうだ。
「ぁ」
僕がしっかりしなきゃ。
「……、」
ゆっくりと息を吐いて呼吸を整える。
「フォックス! 今すぐレイアーゼ中央司令塔本部へ連絡を!」
驚いて目を丸くするフォックスに構わずルーティは続けて、
「ロックマン達……フォーエス部隊が今朝受けた依頼の行き先を調べて!」
白煙を上げなかった国への警備任務。態勢の確認と共に警戒を高めるべく総員出動による任務遂行を命じたのだろうが本部もまさか亜空軍率いる双子の主将マスターとクレイジーが出向くとは想定していなかったことだろう。
「わ、分かった!」
それはロックマン達も同じ。絶対に引けない状況で彼らの弱点も知らぬまま立ち向かい、敗れた。正義の意志は認めるが厳しく言ってのければ判断ミスだ。
「ルーティ!」
どうしてこんなタイミングで。
「場所が分かった!」
「……!」
求めていた声に。一度抑え込んだ感情を吐き出すかの如く振り向いて。
「場所はどこ!?」
……その後。ロックマン率いるフォーエス部隊は地上界にある最西端の国へ続く道の途中で発見された。
幸いと言うべきだろうが不気味なくらい彼らは傷を負っておらずそれなのに現場には赤々とした血が散らばっていて。
それが。それこそが。
彼らもまた悪の双子の所有物に過ぎないという何よりもの証拠だった。
「ルーティ」
炎の海に呑まれた一国を見つめて。
「……生存者は」
悔やみきれない思いを胸に。静かに拳を握り締めたルーティはいつまでもそこに立ち尽くすのだった――