第六章
確かに。初めこそ司令塔に常在している彼らは離れて独自で動く自分たちと違って度々出動依頼が舞い込むのだろうとは納得したつもりだったけど。
それにしては。出ないような気がして。
嫌な胸騒ぎがする。
「思い違いじゃないのか?」
此方の今後の方針など相談事をするつもりだったこの電話もいつの間にか彼らを心配するものへと摩り替わっていて。
「っ、でも」
言いかけた、その時。
「……!」
ぶつりと。
「っもしもし!」
切れる音ではない。電話に応じる際鳴る音に声を上げて食いつく。
電話の向こう側からは確かに人の気配がする。そのことに安心感を得ながらもう一度呼び掛けようと口を開いて。
「もしもし?」
知らぬ声に遮られる。
「あは、ルーティ?」
空気が冷たくなるのを感じた。
聞こえてはならないのだ。いくらそれが覚えのある声だからってそんな声が。
ロックマンの。
携帯から。
「……クレイジー」