第六章



それもそうか、と。

くつくつと笑う声が重なって。


不意に。

無機質な着信音が鳴り響く。


「なんだよ隊長さん。戦場にこんなもの持ってきちゃって」

いつの間に落としたのだろう着信音の正体と思しき携帯をクレイジーはその場に屈み込んで拾い上げた。

「ああ。それともこの作戦が終わったら報告するつもりだったとか?」
「さながら受験生のようじゃないか。お相手さまも余程待ち遠しかったものだと見受けられる」

からかうように言ってマスターが並ぶとクレイジーは携帯の画面を開いた。

「……!」


知らない名前なら。

無視するつもりだったんだけどな。


呼出音が虚しく鳴り響く。

「ルーティ」

所変わって此処は天空大都市レイアーゼ都心部より離れた場所に位置するX部隊拠点のエックス邸。

「まだ電話に出ないのか?」

リビングのソファーに腰を下ろして暗い表情で携帯を耳に当てるルーティに通りかかったフォックスが訊ねる。

「……うん」
 
 
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