第六章
ふっと拳を引かれた。
刹那、側面から襲いくる回し蹴りを躱す手立ては無くロックマンの体は呆気なく蹴り飛ばされる。地面を跳ねて転がったのちようやく止まって痛みに小さく呻いたが嫌な予感というものを肌で感じ取りはっと上体を起こした。
マスターハンドとクレイジーハンドは。
「……!」
視界の先で双子は向き合って手のひらを重ね指を絡めた。きゅ、と強く握るその動作に声を上げる間もなく息を呑む。
「もう遅い」
次の瞬間。
双子の足下に半円が赤、半円が青の魔方陣が浮かび上がり円を囲うように文字を刻んで光を灯した。直後に彼らの背後に両端から金色の光が描きまるで何処かの舞台を模したような魔方陣が完成する。
続けざま。大小様々な歯車が重ねられるようにして浮かび上がり、そして。
……黒い波紋が。
三回に渡って打ち出される。
「っ……!?」
異変は間を置かず襲った。
外傷といったものは受けなかったがその代わりに胸の内側からまるで何かをぶち撒けられたかのように熱が広がって。
「ぁ、か……ッ!」