第六章
「あははははっ! あははっ!」
狂気的な笑い声を上げながら迫り来る。
一定間隔で後方へ飛び退くその都度クレイジーによる攻撃が容赦なく地面を抉り砂煙を上げて。
このままでは埒があかないと見て攻撃の方向を見切り地面を蹴り出す。脇を潜り抜けて彼の後方へ、地面を踏み込んだと同時振り向きながら風を切る音で攻撃を察知して両腕を交差させると案の定拳がその中へ飛び込んできた。
「……ふ」
ぎりぎりと押し合いながら。
「あはははは! やっぱりお前、最っ高だよ!」
瞳孔を開いて嘲り笑う。
「こんなに賢くて執念深くて諦めが悪い人間は初めてかもしれない!」
……狂気。
「お褒めに与り光栄だ」
静かに目を細める。
「ああ。本当お前みたいな優秀な部下が欲しかったよ。そうすればいつまでも僕たちの側に置いてあげられたのに」
踏み堪えるが徐々に押し出されている。あまり長く保つとも思えない。
「……有り得ないとだけ言っておこう」
「ふぅん。そう。なら仕方ないね」
糸が解けるように笑みが失せた。
「終わりにしてやるよ」