第六章
次の瞬間。
電極から電撃が発生してクレイジーは素早く飛び退いた。それを待ち伏せていたマックが駆け込み猛烈な拳による一撃をお見舞いしたが差し向けた左手のひらにあっさり受け止められる。
クレイジーが静かに目を向けて瞳を紅く瞬かせるとマックの体は見えない力によって弾き飛ばされた。入れ替わるようにブラピが双剣を振るい突っ込んできたが二連撃をひらりひらりと舞の如く躱して回し蹴り。その後上空に浮かび上がった金色の魔方陣から降り注いだ金の光の矢は届くより先に障壁で打ち消して。
けれど障壁ではとても相殺を図れないであろう巨大な足による踏み下ろしがクレイジーを頭上から襲った。今日何度目か砂塵に巻かれる結果となったがどうやらこれでも仕留めたという話ではない。
「……ふ」
程なくして砂塵は弾かれた。
「あははははっ!」
思わずぎくりとした。狂気的な笑い声を上げて瞳孔をかっ開き駆けてくる彼の頭からは生々しい血が流れていたのだ。
ベヨネッタによる攻撃を防いだのかはたまた受けたのか、いや後者だったとしてそれで無事であるはずが。
「くっ」
思考を巡らせている間に直前で跳び上がり前転したクレイジーの急降下で勢いをつけた拳の一撃が襲ってきた。とても受け止められる代物ではないと即座に判断し後方に飛び退いたがその判断はどうやら正しかったようで犠牲となった地面は罅を走らせ深く抉れて。