第六章



音も無く。砂塵に紛れて両側から構えた剣を大きく薙ぎ払って挟み討ち。けれど討つべき対象は既に其処にはおらずカムイとカンナの剣は金属音高らかに虚しく互いの剣を交えていた。

「二番煎じなんだよねぇ」

地面を蹴って上空へ後転しながら跳び上がったクレイジーは口角を吊り上げると瞳を紅く瞬かせて。

「……お返し」

降下と同時に前転して直後クレイジーの体は白い光に包み込まれた。かと思うと光が弾け巨大な白い手袋の姿へと変貌を遂げたクレイジーの平手が地上から見上げていたカムイとカンナの二人を襲う。

再び舞い上がる砂塵。加えて襲い来る風は強風というより爆風と例えるに相応しかった。自身を庇うように腕を差し出してそれに踏み堪えていたが砂塵を突き破る影に逸早く気付いてロックマンはすかさず蹴りを繰り出し相殺を図る。

「あはっ」

次の瞬間人型に戻ったクレイジーの拳による一撃が襲ってきたが読み通り相殺。直ぐさま拳を引いて回し蹴りを返してきたが腕を交差させて受け止めた。

「まだ動くの? まだ諦めないの?」
「正義は何度でも立ち上がるさ」

直後両腕の手のひらが内側に引っ込んで代わりに電極が伸びた。ばちばちと鳴き声を上げて電光を跳ねる最中標的を鋭く睨みつけてロックマンは紡ぐ。

「……悪がある限り!」
 
 
47/58ページ
スキ