第六章
程なくして光の棘は粒子となり失せた。
少女の体は崩れ落ちて横たわる。じわりじわりと草地に広がっていく血溜まりが生々しく。もう再び握られることはないであろう剣の刀身をばちばちと音を立て宛てもなく閃光が跳ねて。
「……本当に」
目元に暗く影を落として呟く。
「人間という生き物は」
ぽつりぽつりと。
「愚かで。あっけなくて」
くく、と喉奥で笑い肩を震わせて自身の前髪をくしゃりと掴む。
「……無様だな」
絶望を孕んだその色は。
全ての希望を正義を見下していて。
「あーあ」
突き刺さるような雰囲気に相応しくない気の抜けた声に振り向いて。
「……!」
小さく目を開いた。
「手を出さないでって言ったのに」
そこには。
苦しそうに固く目を瞑ってもがくハルの首根っこを左手で掴み高く吊るし上げるクレイジーハンドの姿……
「仕方ないだろう」
短く息を吐いてマスターハンドは返す。
「こっちに向かって来たんだから」