第六章
「やれやれ」
そのひとは息をついた。
「野蛮なお客様だ」
あの一瞬で。
地面から突き出た光の棘はずるりと引き抜かれたかと思うと粒子となり何事も無かったかのように失せた。支えを失ったルフレの体はやがて剣を手放すと力なくその場に膝をついて。
「気付いていなかったとでも?」
マスターハンドは半ば呆れた様子で。
「お前たち人間の考えることなど所詮はその程度。神の知恵に勝ると思うな」
冷たく見下して。
……蒼い瞳に映り込んだ惨めな姿にふつふつと湧き上がるものを覚えた。逸早くロックマンは気付いたがその頃には再び剣を手繰り寄せ握って。
立ち上がる。叫ぶ声が遠く。
「はああぁああああっ!」
これだから人間は。
「……!」
足を踏み込んだ刹那ルフレの足下に半径二メートル程の白い魔方陣が展開。声を上げる間もなく四方八方の地面から光の棘が一斉に突き出して。
異様なまでの静寂。中心で剣を振るおうとしたルフレの体は容赦なく――