第六章
障壁が失せる。直後差す影に逸早く察知してクレイジーは振り向いた。そのタイミングで薙ぎ払われた攻撃を紅い左目の一度の瞬きで弾き返す。されど怯まず繰り出した回し蹴りはふっと姿勢を屈めて躱し剣を引いて払いつつの突撃はまたも見えない壁で容易く阻んで。
クレイジーは目の前でぎりぎりと神弓を割った双剣で押し込もうとする向かいの黒い翼を広げた天使を冷たく見据える。
「どうだ」
ブラピはニヒルな笑みを浮かべた。
「破壊神クレイジーハンド」
……大体読めた。攻撃を当てることではなく攻撃により視界から外させて魔方陣により拘束された仲間を解放させることこそがあの堅物の狙い。
死角となる右後方より飛んできた、白い光の矢の弾幕をただの一度も目もくれず障壁で打ち消す。直後にブラピが大きく翼を羽ばたかせて後退した。それを目で追う間もなく地上から金色の光弾が発射される。またもクレイジーは黒煙に巻かれる結果となったがそれでいい。
本当の狙いは。
「くっ」
……自身の能力に対する絶対的な自信。
それは他でもない片割れの存在。
互いの手を繋ぎ、発動する能力然り。
力の根源と成り得る彼を。
……創造神マスターハンドを!