第六章
大きく、目を開いた。
胸の中央を貫かれたその体は程なく引き抜かれたのと同時、がくん、と両膝から崩れ落ちて。噴き出す鮮血があまりにも生々しく小さくその人の名を呟く。
「……クラウド」
沸々と込み上げてくる。
胸の内側で打つ心臓の音が徐々に。
大きく。
どくんと鼓動を打つ。その次の瞬間には駆け出していて。
行っちゃ駄目だと叫ぶ声が聞こえた気がした。けれどその声も復讐の二文字に呆気なく掻き消され一心不乱に。くっと奥歯を噛み締め、走りながらに打ち払った剣の一撃が攻撃の直後である今この瞬間であれば届くと信じて。
「うおおぉおおおッ!」
紅い目がゆっくりともたげた。
「うるさいなぁ」
神なる双子の所有物。
であれば何処かで躊躇うものがあって、だから。そうして隠された彼らの内側にある罪悪感を盾にすれば。致命傷を負うような事態にはならないものだと。
「あ……っああ……」
小さく漏れ出す声に絶望が染み渡る。
その体は程なく崩れ落ちた。それだってほんの数秒の出来事で。
「マーク」
ぽつりと小さく呟いて睨み付ける。
「……よくも!」