第六章
ふ、と笑みがこぼれた。
「あはは! 笑わせてくれるね。それがお前たちの絆ってやつ?」
ロックマンは黙って見つめている。
「僕は別に構わないよ。化け物をいくら庇おうがいくら足掻こうが結果は同じ」
ざわつく。
「何も変わらないんだからさ!」
クレイジーの衣装の赤い亜空軍のマークを模したバッチで留められたストールが風に撫でられるように揺らめいた。刹那足下に紅い魔方陣が浮かび上がり歯車のような形をした光の線がぎこちなく刻む中その縁に文字を綴っていく。そこから察せられるのは広範囲指定の古の魔術。
「……ロック!」
マークは振り返った。
「お前らあれを使わせるな!」
攻撃の体勢に移りパックマンが叫ぶ。
「撃て!」
――法撃、光線弾が入り混じる。突撃を受けたクレイジーは障壁で防ぐ間もなく瞬く間に砂煙に巻かれた。
これにより大きな事態は避けられたかのように思えたが束の間の安息だった。
「なっ」
その刹那。砂煙は弾かれた。巨大な盾を模した白い光が疎らに消えたその中心で変わらずクレイジーが立っている。
「マスターハンド!」
苛立ちを込め名前を呼ばれたその相手はくすっと小さく笑って返した。
「……もう遅い」