第六章
勇ましい声と共に。
想いの込められた一撃は。
「っ、外したか」
ロックマンは攻撃を振るった二人から数メートル程離れて砂煙に巻かれ立ち竦むクレイジーを見つめる。
「でも」
砂煙がうっすらと晴れた頃。
「掠めた……!」
――右の頬には赤の滲んだ一線。
シュルクの放ったモナドによる一撃は残念ながら直撃を躱されてしまったようだがそれでもギリギリだったようで衣服の一部が切れていた。
クレイジーは左手の甲で伝う血をくいと拭った。白い手袋に付着する赤に落とす視線は厭に冷めきっているようで。
「……へぇ」
ゆっくりと視線をもたげる。
「流石の僕も読めなかったかなぁ」
何処か冷たく呟く彼は当然のことながら気分が優れない様子で。
「イイモノ飼ってるみたいじゃん。正義なんて、綺麗なコト言っちゃってさ」
「何のことだ」
ロックマンは目を細める。
「そいつら化け物のことだよ」
マークとシュルクは構えを解かずに睨みつけている。
「親近感わいちゃうね。僕たち似たもの同士ってわけだ」
「一緒にしないでいただこう」
ロックマンは静かな口調で返す。
「うちが雇っているのは人間だけだ」