第六章
その時だった。
「……!」
青い一閃が裂くように。
既の所でハルを手放すことによりまさか左腕を斬り落とされるような事態にはならなかったが何故かその攻撃を予測することができなかった。異変を察してすかさずその場から飛び退いたが。
「うおおぉおおおおッ!」
目前。
「……くっ!」
飛び込んできたのはマークだった。
本来なら死角である包帯によって存在も何も閉ざされた右目を狙って突き出したのは左腕。二の腕半ば程にまで黒い鱗を纏った爪の鋭利な竜の腕。
けれど不意を突いたはずの一撃は寸前で顔を反らされ躱された。マークは思わず歯を軋ませたがまだ終わりではない。
「……!」
クレイジーは小さく目を開く。マークの体の表面を青く揺らめく靄のような……いや。オーラが纏ったのだ。
「未来を」
「運命を」
口々に。最初に呟いたシュルクはまたも死角となるクレイジーの右側より、神剣モナドを大きく引いて接近。次いで踏み込むマークは地面を蹴り出して。
「変えるッ!」