第六章
歯と歯で挟み込んだフォークの柄を蹴り飛ばしたクッパクラウンに引き寄せられてしまうより先、噛み砕く。そうして得たフォークをすかさず左手で逆手に持ち直し未だ残る砂塵に振り向きざま投げつけるとその先で甲高い金属音が響いた。
程なく砂塵を突き破り、現れたのは剣を構えたルキナ。引いた剣を左目を狙って突き出したが顔を反らされ躱される。
「く……!」
その一瞬の隙に目をつけてふっと姿勢を低く屈めたクレイジーが次の瞬間には地面を蹴り出し目前へ。けれどルキナは内心ほくそ笑んだ。
それこそが彼女の狙いだったのだ。
突き出した剣を引いて構え直すその姿は瞬時に反射神経が恐ろしいほどに研ぎ澄まされ如何なる相手の攻撃も受け流し、打ち返すカウンターの構え。
その頃にはもう既にクレイジーも左手の拳を握り踏み込んでいた。
けれど今更。意図に気付いたところで。
……この距離なら!
「え」
ルキナは我が目を疑った。
瞬きする間もなく。標的は視界から姿を掻き消して。