第六章



逸早く。気配を察知して背後から突進を仕掛けてきたチコを躱し、流れるように蹴り落とした。そのまま地上のロゼッタの姿を捉え虚空を蹴って降下する。その最中ばちんと指を鳴らせば先程浮かび上がった魔法陣がより強く発光し長く尾を引く光線弾を一斉に解き放って。

光線弾は降下するクレイジーよりも早く降り注いでくる。すかさずロゼッタが杖を振るうと光線弾は不思議な力によって軌道を変えて地面に激突した。

砂塵が舞い上がる。鼻を袖で覆って目を凝らしたが刹那砂塵は大きく弾かれた。

「ぐ、ぅ」

突き破り現れたのはクレイジー。

けれど振るった拳を既の所で受け止めたのはジュニアだった。乗り込んだ小型のクッパクラウンの数ある仕掛けのひとつであるパンチグローブが真正面からぎりぎりと侵攻を押しとどめている。

「ぼくが」

ジュニアは眉をひそめる。

「……こいつを!」

次の瞬間、クッパクラウンのサイドから飛び出したのは通常のものよりひと回りもふた回りも大きなフォーク。正面クレイジーの左目を狙って放ったが首を反らされ躱される。その上。

フォークの柄を歯と歯で挟み込んだかと思うと続け様、拳を引きつつクッパクラウンをジュニア諸共蹴り飛ばしたのだ。
 
 
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