第六章
次の瞬間。握られた拳が目にも留まらぬ速さでモウカの鳩尾に深く減り込み容赦なく幾つかの骨を砕いた。その後、更に力を加えて押し込むとモウカの体は瞬く間に吹き飛ばされ流星の如く地面に叩きつけられて。……砂塵。姿は窺えない。
「だから言ったのに」
呆れたように吐いて見下す目は紅く。
次に誰を捉えるか分からない。目の前の惨劇に戦士達の足は竦む。
もしかしたら。
今度は。
「怯むな!」
声を上げたのは。
「……、」
次の瞬間クレイジーの後頭部を目掛けて砲弾が放たれたが透明な壁が弾き表面に赤い波紋を描いて。
「俺たちの正義は」
クレイジーはゆっくりと振り向く。
「ここで屈したりしない!」
ああ。
そういうこと。
「だったら」
幾つもの赤い光を灯した大小様々な魔法陣がクレイジーの背に浮かび上がる。
「楽しませてくれるよね?」