第六章
次の瞬間。ベヨネッタが拳を突き出すと真横の空間が捻れて歪み続けざま現れた紫色の雲を突き破るようにして巨大な腕が拳を握って前方を殴りつけた。けれどそれより早くクレイジーは地面をとんと蹴って跳び上がり空中へ。
ベヨネッタの頭上、僅か後方。くるっと前転して逆さになりながら口元に笑みを浮かべたその背に紅い光が走り魔法陣を作り出す。それがより強い光を灯したが刹那阻むように魔法陣へ向けて幾つもの光線弾が打ち込まれて。
「やらせはせん!」
「ゆくぞ!」
地上、後方より妨害を果たし跳び上がり接近する二つの影にクレイジーは反して慌てる様子もなくゆっくりと。
「……馬鹿だなぁ」
視界に捉える。左目に赤の閃光が迸る。
次の瞬間。
「え」
見えない何かが。
シラヌイの右脚を容赦なく。
圧し潰して。
「ああぁあああああッ!」
悲痛な叫び声を上げてバランスを崩し墜落するシラヌイに目を見開いて。
「あれがお前のパートナー?」
たかが数秒足らずとはいえ視界を外れたのがいけなかった。
「駄目だよ」
気付いた時には。
「……手を離したら」