第六章



呟いて。ベヨネッタが片足を力強く踏み込むと彼女の衣装の一部がしゅるしゅると糸を解くかのように失せた。直後クレイジーの前方上空が陰り不自然な紫色の雲が出現する。そしてクレイジーがある程度その距離を詰めたタイミング。

雲を突き破るようにして紫のハイヒールを履いた巨大な女性のものと思しき足が勢いよく踏み下ろされたのだ。

巨大な足による踏み下ろしはその絶妙なタイミングにより一見して直撃したかのように思われた。だがしかし手応えを感じられなかったのだろうベヨネッタが目を細めたが刹那舞い上がった砂塵を突き破って標的は再びその姿を現した。

「しつこい男はモテないわよ!」

次いでベヨネッタがその場で拳を振り上げると今度はクレイジーの前方足元の地面に紫色の雲が出現し、そしてまたもや巨大な腕が拳を握って突き出した。

けれどそんな攻撃など読み切っていたのだろうクレイジーは素早く身を躱して。

「お生憎様」

もうすぐそこにまで迫る標的を前にベヨネッタは顔を顰めて拳を引く。

「――兄さん以外に興味ないから」
 
 
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