第六章
それは。
まるで弾丸だった。
あまりの速さに肉眼では捉えることが出来なかった。彼が元居た場所には少しの砂煙が小さく渦を巻いて。
本体は。
「……!」
拳の一撃により弾き飛ばされるマックを目で見送る他なく。……考えてもみれば彼ら双子が正義の側である此方の都合に合わせてくれるはずもなかったのだ。
圧倒的な力で。
完膚なきまでに叩きのめす。
それこそ。
正義の意志が砕けて果てるまで。
「AL-2!」
叫んだのはロックマン。
「は、なにそれ」
クレイジーは嘲るように笑って、
「格好つけちゃって……」
次の瞬間。
向かって左から飛び込み剣を薙ぎ払ったのはルキナだった。振るった時は確かに攻撃の圏内であったはずなのに気付いていたのだろう無感情な瞳で見つめる彼は髪の毛一本すら掠めていない。
「くっ」
隙を許せば、結果は見えている。
ばちばちと音を鳴らして次の剣を払ったのはルフレだった。彼の左目の視界の外左斜め後ろから仕掛けたが手応えはなく剣は虚しく空を切って。