第一章
……妙な間があった。
「すみません」
かと思えばダークファルコがにこりと笑って。
「簡単に抜け出してくれると思ったんですけどねぇ」
「うーわっ、お前そんなことしたのかよ」
ダークフォックスは顔を顰めた。
「……羨ましい」
そっちか。
「大丈夫だったのか?」
「うん。ウルフが」
「あんな単純な手に掛かるとはてめえもまだまだだな」
助けてくれたのだと説明するより先ウルフは吐き捨てるように言った。こうなると事実を話す気も失せる。
「……とにかく、命令違反だ。ファルコ」
「重々承知しております」
ダークファルコは嫌な顔ひとつせずに頭を下げた。
「悪いな。帰ったらちゃんと聞かせておくから」
「スピカも大変だね……」
ルーティは苦笑いを浮かべた。