第六章



……破壊神クレイジーハンド。

無論得意とするのは蹴りや拳をふんだんに使った接近兼肉弾戦。それのみに限らず彼の場合は例え距離が遠く離れていようと他と比べ物にならない高度な魔術で攻撃を繰り出し標的を圧倒する。

これで頭が破壊にしか脳が働かない俗に言う筋肉で出来ていたなら策で幾らでも欺けたものを生憎のこと彼は天資英邁、創造神マスターハンドの弟。

生まれついての欲望の突き動かすがまま破壊の限りを尽くし挙げ句振り回されて自滅するような扱いの容易いタイプでは断じて無い。

「兄さん」

クレイジーは口を開く。

「今回は僕だけにやらせてよ」

挑発的とも見て取れるその発言に。

「だから兄さんは手を出さないでね」

はいはい、と。マスターは右瞼を伏せて仕方なさそうにくすくすと。

「さて」

くるっと振り返る。

「来ないの?」

問う。

「……来ないなら」
 
 
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