第六章



……風が吹く。

草木がざわざわと音を立てる。

淀んだ空気の中で一同が息を殺して目を見張る中、全ての視線の先である少年はふぅんと声を洩らして。

「……で?」


返された言葉に。

「え?」

ルキナは小さく目を開く。

「いくら未来が滅んだと言ったところでそれはお前が見た世界での話」

淡々と。

「僕たちには関係ない」

冷たく言葉で切り捨てる。

「別に、この世界がどうでもいいって話じゃないよ。まあやり方はどうあれこの世界を管理してる神様だし」

やや呆れ気味にお手上げといったような仕草をしたのち。影を差したかと思えばすっと目の色を変えて。

「だからこそ。僕たちが本来抱えるべき問題を何の関わりもない全くの部外者である 模造品 おまえが被害者ヅラしてこっちに持ち込んできたことが気に食わない」


赤の光が瞬く。


「ルキナ」

静かに剣が構えられる。

「……やはり此方の要望には応じてくれないようです」

出来ることなら回避したい事態だったがそれならばやむを得ない。ロックマンはくっと眉をひそめる。

「いいねえ。やってごらんよ」

クレイジーは浮かべた笑みを深める。

「やれるものならさ」
 
 
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